闇が渦巻く世界の果てで
~ゆかside~
レン様達がいなくなってから、私は雲嵐さんを見つめる。
「私だけ匿った理由は、なんでですか?」
その問いに、雲嵐さんは少し気まずそうに口を開いた。
「君が見つかれば全てアイツらの思い通りだ。彼が尋くんを殺さないのも目に見えていたこと。だから君だけを匿った。申し訳ない──」
雲嵐さんが、私を匿い続ければ、見つからないかもしれない。けど、そしたら尋は?
レン様のこと。きっとあまりにも私が見つからないと躊躇わずに尋を殺すぐらいはするだろう。
「雲嵐さん───少ししたら私を見つけたと連絡してください。尋を助けに行きます」
私のその言葉に、雲嵐さんは息を呑む。
「正気か?次アイツらの元に行ったら本当に逃げられない。そんなことをする必要は───」
「そうですよユカさん‼︎そんな危険なこと──」
雲嵐さんと、天陽さんは私を止めようとする。けど、私の意思は変わらない。
「お願いです」
私が頭を下げると、諦めたように雲嵐さんがため息を吐いた。
「俺が君を匿っていたことは隠すように。今後君を助けづらくなる」
そう言うと、雲嵐さんは軽く微笑んだ。
「無事を祈る」
雲嵐さんが連絡したのを確認してから、私は軽く深呼吸をしてストライアへの転移魔法を広げた。
眩しい光に包まれたと同時に、景色が一変する。
門番に軽くお辞儀をしてから城内に入り、レン様の部屋に向かった。
部屋の前に行くと、来るのがわかっていたかのようにレン様が待っている。
「お帰りユカ」
不気味なほど甘い声に、少しだけゾッとした。
「ユカ、今僕はとても君がほしい」
伸びてくる手を払うことができず、私は固まる。レン様の指が、私の体をなぞるように服の中に入っていく。
「──────っいや‼︎」
「ユカが悪いんだよ?いつもすぐ逃げようとするから───無理やりなんて好きじゃないのに。けど調教はしないといけないじゃん───?」
恐怖や憎悪、色々な感情からポタポタと涙が溢れてくる。
「何をやってるんですか───?レン様」
突然、後ろから抱きしめるようにしてレン様から引き離された。私を守るように、トール兄様が立っている。その目には確実に、殺意がこもっていた。
感情のこもってない目でレン様はトール兄様を見ると、「またね」と私に手を振って去っていく。レン様が去っていった所で、トール兄様は私の涙を拭った。
「あぁ…こんなに泣いて。怖かったね───。大丈夫だよ。俺が守ってあげるからね。わざわざ戻ってきてくれてありがとう」
一つ一つ、丁寧に区切りながら私に優しく声をかけてくれる。その謎の安心感に、一気に緊張が解れた。
「ユカ、俺の名前を呼んでくれないかい?」
「──?トール兄様」
私がそう言うと、嬉しそうに目を細める。
「あぁ。それで良いんだ。ユカ、君は俺のことをそうやって見つめてれば良い。レン様が怖かったらいつでも逃げておいで」
──暖かい
トール兄様に抱きしめられ、今まで感じていた恐怖や不安がなくなっていく。
私は、大丈夫だ────
レン様達がいなくなってから、私は雲嵐さんを見つめる。
「私だけ匿った理由は、なんでですか?」
その問いに、雲嵐さんは少し気まずそうに口を開いた。
「君が見つかれば全てアイツらの思い通りだ。彼が尋くんを殺さないのも目に見えていたこと。だから君だけを匿った。申し訳ない──」
雲嵐さんが、私を匿い続ければ、見つからないかもしれない。けど、そしたら尋は?
レン様のこと。きっとあまりにも私が見つからないと躊躇わずに尋を殺すぐらいはするだろう。
「雲嵐さん───少ししたら私を見つけたと連絡してください。尋を助けに行きます」
私のその言葉に、雲嵐さんは息を呑む。
「正気か?次アイツらの元に行ったら本当に逃げられない。そんなことをする必要は───」
「そうですよユカさん‼︎そんな危険なこと──」
雲嵐さんと、天陽さんは私を止めようとする。けど、私の意思は変わらない。
「お願いです」
私が頭を下げると、諦めたように雲嵐さんがため息を吐いた。
「俺が君を匿っていたことは隠すように。今後君を助けづらくなる」
そう言うと、雲嵐さんは軽く微笑んだ。
「無事を祈る」
雲嵐さんが連絡したのを確認してから、私は軽く深呼吸をしてストライアへの転移魔法を広げた。
眩しい光に包まれたと同時に、景色が一変する。
門番に軽くお辞儀をしてから城内に入り、レン様の部屋に向かった。
部屋の前に行くと、来るのがわかっていたかのようにレン様が待っている。
「お帰りユカ」
不気味なほど甘い声に、少しだけゾッとした。
「ユカ、今僕はとても君がほしい」
伸びてくる手を払うことができず、私は固まる。レン様の指が、私の体をなぞるように服の中に入っていく。
「──────っいや‼︎」
「ユカが悪いんだよ?いつもすぐ逃げようとするから───無理やりなんて好きじゃないのに。けど調教はしないといけないじゃん───?」
恐怖や憎悪、色々な感情からポタポタと涙が溢れてくる。
「何をやってるんですか───?レン様」
突然、後ろから抱きしめるようにしてレン様から引き離された。私を守るように、トール兄様が立っている。その目には確実に、殺意がこもっていた。
感情のこもってない目でレン様はトール兄様を見ると、「またね」と私に手を振って去っていく。レン様が去っていった所で、トール兄様は私の涙を拭った。
「あぁ…こんなに泣いて。怖かったね───。大丈夫だよ。俺が守ってあげるからね。わざわざ戻ってきてくれてありがとう」
一つ一つ、丁寧に区切りながら私に優しく声をかけてくれる。その謎の安心感に、一気に緊張が解れた。
「ユカ、俺の名前を呼んでくれないかい?」
「──?トール兄様」
私がそう言うと、嬉しそうに目を細める。
「あぁ。それで良いんだ。ユカ、君は俺のことをそうやって見つめてれば良い。レン様が怖かったらいつでも逃げておいで」
──暖かい
トール兄様に抱きしめられ、今まで感じていた恐怖や不安がなくなっていく。
私は、大丈夫だ────