闇が渦巻く世界の果てで
「嘘──だ──なぜ────なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ‼︎」
おかしい
天陽さんらしくない声を出し、「なぜ」と繰り返すその様子は、あまりにも不気味だった。
天陽さんの異常に気づいたのは、僕たちだけではない。
勿論、トールさんも気づいた。こちらの方を見てから顔を顰めたのが分かる。
「どいつもこいつも──使い物にならないものばっか────」
トールさんはそう言うと、流れるようにレンさんに魔力をぶつけた。
レンさんは力尽きたかのようにその場に崩れ落ちる。
「うざい────みんなウザイなぁ──邪魔者ばっかだ。こうやって、いつもいつもいつもいつも俺の邪魔ばっかして──ウザイ。本当にウザい。消えてしまえばいいのに」
トールさんは、ぶつぶつと呟きながら涙を流していた。
悔しそうに、悲しそうにそれでいて楽しそうに笑った。
「全員死ねよ」
トールさんは短くそう言い捨て、もう一度息を吸ってから口を開く。
「俺とユカ以外、全員死ねよ。消えてしまえ」
「やばい」そう思った時には、すでに遅かった。
爆発した──
地球全体を覆うように真っ赤な光が広がり、そして爆発する。
粉々になって降ってくる物が何かなんて分からなかった。
家の瓦、電球、コンクリート、動物、誰かの腕、足、目──
周りにあったはずの物は、何もない。
全てが粉々に砕かれ、跡形もない。
勿論それは、きっと、僕たちも例外ではないんだろう。
だってもう、何も──────────