闇が渦巻く世界の果てで
「遅い‼︎遅すぎる‼︎お前やる気あるのかよ‼︎」
(遅い?これが遅いだって…?一応これでも学年1位の足の速さだよ⁉︎)
翌日、僕は朝から快斗さんに叩き起こされ、走り込みをさせられる。
「ただ走ってるからそうなるんだ‼︎魔力を使え‼︎」
遠くで快斗さんが叫ぶ。魔力を使う…?どうやればいいのかも説明してほしいものだ。
「足に力を集中させろ」
気がついたら隣にいた快斗さんにそう言われる。足に力を……
「ウッ……」
その時、突然の痛みと同時に体が軽くなる。
「そうだ。その状態で走れ」
快斗さんに言われた通りにした。景色が動くのが早い。これが、魔力か……?
「ふむ…初めてにしては異次元だな」
戻ってきた僕に対しての第一声がそれだった。
もしかして……
「普通はできない物を無理やりやらせましたか…?」
恐る恐る聞いたそれに、快斗さんは不気味に笑う。
「あぁ何か問題はあるか?」
自分の笑顔が引き攣って行くのがわかった。この人、普通にやばいやつだ。
「幼馴染の好きな人を早く助けたいんだろ?」
快斗さんのその言葉に、僕はハッとする。
「別に俺はのんびりでも良いんだが…どうしたい?」
快斗さんの問いへの答えは決まっていた。
「今のままでお願いします」
少しでも早くゆかを助ける為にも。頑張らないといけない。
「よし。その意気だ」
快斗さんのその言葉に、僕はただ微笑んだ。