闇が渦巻く世界の果てで

(二)

「山中尋です。これからよろしくお願いします」

「やば…めっちゃ可愛い系男子じゃん‼︎」
「え、狙っちゃおうかな」
「男の俺も惚れそうだわ」
「おい、お前彼女いるだろ」

僕の挨拶に、周りが各々感想を言い合う。印象が悪くないならそれでいい。誰に好かれようが、僕が好きなのはゆか1人だ。勝手にしてくれとも思ってしまう。

(馨みたいなこと言ってんな…)

自分でそう思いながら、先生に言われた席に座った。

「山中くんはじめまして。藤田りんです。わからないことがあったらなんでも聞いてね」

隣の席の藤田さんがそう声をかけてくる。

「ありがとね。りんちゃん」

そう言うと、藤田さんは少し頬を赤めて微笑んだ。

「俺は廣瀬(ひろせ)恭弥(きょうや)。気軽に恭って呼べよな‼︎」

前の席の男子が振り返って笑う。見るからにスポーツマン男子だ。

「ありがとう。え〜と、よろしくね恭」

僕がそう言うと満足そうの笑って前を向く。全員、良い人そうなクラスだった。だからこそ、このクラスをゲームに巻き込みたくないという気持ちもある。ただそれは、ゆかを助ける為にはどうしても必要な犠牲だった。ゲームに巻き込んでしまったとしても、死者を出さずに戻さないと。じゃないと報われない。
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