Nice to meet you「Daisy」
(疲れたな……)

ここ最近、ぼんやりとした瞬間にリオンはそう考えている。寝ても覚めてもほとんど勉強のことしか頭にない。読書をしたりもするが、勉強していることの方が圧倒的に多い。

『たまには息抜きも大事』

そう両親は言うものの、リオンはいつも勉強をしてしまう。もうすぐ三年生になり、大学受験がやってくるとなると尚更勉強する手を止められないのだ。

(この問題集の三ページを終わらせたら、今日はもう帰ろうかな)

家に帰って夕食を食べ、シャワーを浴び、寝るまで勉強する。今日もいつもと変わらない一日。そう思っていた。

「そこの君!疲れた顔してるね〜!」

静かにすることがルールのはずの図書館に、一段と大きな声が響く。耳元でトランペットを吹かれた時のような騒がしさにリオンが顔を上げると、目の前には歳上と見られる女性がニコニコしながら立っていた。

「やっとこっち見た!」

そう言って笑う彼女は、顔立ちは大人びており、リオンより歳上だとわかる。だが、服装と髪型が彼女をどこか幼く見せていた。
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