悪役令嬢ふたりの、のほほん(?)サバイバル暮らし
狩りとシチューと日常と
「アルベルティーヌさん、貴女って本当に鈍足ですのねぇ」
パメラが呆れたように呟きながら、火にかけているシチューをかきまぜた。
今日のメニューは野ウサギのシチュー。具は、ネスビット山脈に生える野草と、ふたりが力を合わせて先ほど狩ったばかりの野ウサギだ。
一方、狭い台所の片隅でちくちくとハンカチに刺繍していたアルベルティーヌは、パメラの誹りを受けて顔を真っ赤にさせた。
「しょっ、しょうがないじゃないのッ!? わたくしは誉れあるハルベリー家の一員として、ずっと王妃になるべく育てられてきたのです! 走ったことなんて数えるくらいしかありませんわ」
「まあ、ご立派な教育ですこと! だからあんなにすぐ息切れされるのね!」
「そういうパメラさんはどうなのかしら!? 貴族令嬢なのに家事も料理も完璧、おまけに狩りもできるなんておかしいですわ! イレギュラーですわ! ずるいですわ!」
ぷりぷりと頬を膨らますアルベルティーヌに、パメラは勝ち誇ったように高笑いをする。ちなみに、ふたりのこれくらいの応酬は日常茶飯事だ。決して喧嘩をしているわけではない。
パメラはシチューに胡椒を混ぜいれる。
「確かにわたくしはイレギュラーかもしれませんわ。おばあ様が平民出身で、たまたまわたくしに教えてくださったのよ。『いざとなった時に自分を助けてくれるのは、自分自身しかいない』とかなんとか……。まさか、あの時のアレコレがこんなに役に立つとは思いませんでしたわ」
「わたくしも詩歌やバイオリンの授業より、狩りのお勉強をするべきでしたわっ……。どんなに複雑怪奇な詩が書けたって、お腹はふくれませんもの」
アルベルティーヌは大きくため息をつく。
パメラが呆れたように呟きながら、火にかけているシチューをかきまぜた。
今日のメニューは野ウサギのシチュー。具は、ネスビット山脈に生える野草と、ふたりが力を合わせて先ほど狩ったばかりの野ウサギだ。
一方、狭い台所の片隅でちくちくとハンカチに刺繍していたアルベルティーヌは、パメラの誹りを受けて顔を真っ赤にさせた。
「しょっ、しょうがないじゃないのッ!? わたくしは誉れあるハルベリー家の一員として、ずっと王妃になるべく育てられてきたのです! 走ったことなんて数えるくらいしかありませんわ」
「まあ、ご立派な教育ですこと! だからあんなにすぐ息切れされるのね!」
「そういうパメラさんはどうなのかしら!? 貴族令嬢なのに家事も料理も完璧、おまけに狩りもできるなんておかしいですわ! イレギュラーですわ! ずるいですわ!」
ぷりぷりと頬を膨らますアルベルティーヌに、パメラは勝ち誇ったように高笑いをする。ちなみに、ふたりのこれくらいの応酬は日常茶飯事だ。決して喧嘩をしているわけではない。
パメラはシチューに胡椒を混ぜいれる。
「確かにわたくしはイレギュラーかもしれませんわ。おばあ様が平民出身で、たまたまわたくしに教えてくださったのよ。『いざとなった時に自分を助けてくれるのは、自分自身しかいない』とかなんとか……。まさか、あの時のアレコレがこんなに役に立つとは思いませんでしたわ」
「わたくしも詩歌やバイオリンの授業より、狩りのお勉強をするべきでしたわっ……。どんなに複雑怪奇な詩が書けたって、お腹はふくれませんもの」
アルベルティーヌは大きくため息をつく。