悪役令嬢ふたりの、のほほん(?)サバイバル暮らし
「ね、ねえ、パメラさん、シチューはまだですの?」
ぼんやりとシチューをかきまぜていたパメラの意識をもとにもどしたのは、お腹をすかせたアルベルティーヌの一言だ。
シチューはぐつぐつと煮え、食欲をそそる匂いを漂わせている。
パメラは一口味見をすると、「まあこんなものでしょう」と一つ頷いた。アルベルティーヌは小さな声で歓声をあげると、いそいそと別室にいる乳母を呼びに行く。
パメラが食卓にシチューを並べていると、隣の村に行っていたアルベルティーヌの騎士が、屋敷に戻ってきた。彼の名前はダグラス・ナリー。しっかり者の、背の高い若い騎士である。アルベルティーヌの話では、数年前まで騎士団の出世頭だったらしいが、どういうわけかこんな田舎町に住んでいる苦労人だ。
顔かたちもそこそこ整っているので、王都にいればさぞかしモテただろうとパメラは踏んでいる。
「ダグラス、お帰りなさい。アルベルティーヌさんの刺繍、今日も売れた?」
「ただいま戻りました、パメラ嬢。アルベルティーヌ様の刺繍、今日も良い値段で売れましたよ。どうやらちまたで評判になっているようです。それから、チーズと牛乳と砂糖を買ってきました」
「ありがとう、ダグラス。そこに置いておいてくれる?」
「……ああ、いい匂いだ。パメラ嬢は本当に料理がお上手ですね」
ダグラスは爽やかに笑う。パメラは当然よ、と言わんばかりに胸を張った。
「わたくしを誰だとお思いなの? これくらい、朝飯前ですわ。 まあ、もう夕ご飯どきですけれど!」
ぼんやりとシチューをかきまぜていたパメラの意識をもとにもどしたのは、お腹をすかせたアルベルティーヌの一言だ。
シチューはぐつぐつと煮え、食欲をそそる匂いを漂わせている。
パメラは一口味見をすると、「まあこんなものでしょう」と一つ頷いた。アルベルティーヌは小さな声で歓声をあげると、いそいそと別室にいる乳母を呼びに行く。
パメラが食卓にシチューを並べていると、隣の村に行っていたアルベルティーヌの騎士が、屋敷に戻ってきた。彼の名前はダグラス・ナリー。しっかり者の、背の高い若い騎士である。アルベルティーヌの話では、数年前まで騎士団の出世頭だったらしいが、どういうわけかこんな田舎町に住んでいる苦労人だ。
顔かたちもそこそこ整っているので、王都にいればさぞかしモテただろうとパメラは踏んでいる。
「ダグラス、お帰りなさい。アルベルティーヌさんの刺繍、今日も売れた?」
「ただいま戻りました、パメラ嬢。アルベルティーヌ様の刺繍、今日も良い値段で売れましたよ。どうやらちまたで評判になっているようです。それから、チーズと牛乳と砂糖を買ってきました」
「ありがとう、ダグラス。そこに置いておいてくれる?」
「……ああ、いい匂いだ。パメラ嬢は本当に料理がお上手ですね」
ダグラスは爽やかに笑う。パメラは当然よ、と言わんばかりに胸を張った。
「わたくしを誰だとお思いなの? これくらい、朝飯前ですわ。 まあ、もう夕ご飯どきですけれど!」