悪役令嬢ふたりの、のほほん(?)サバイバル暮らし
こうして、今日もパメラがつくった料理を囲み、和やかな夕食が始まった。
「今日は多めに作ったから、おかわりもありましてよ!」
「や、やだ。パメラさんったらわたくしをブクブク太らせる気なんでしょう……っ!」
「オーホッホッホ、その通りですわ! 今年こそそのキュッとくびれたウエストをタプつかせてやるんだから!」
「最悪ですわ、この策士! ……は、はしたないけれど、シチューにパンをかけて食べるとどうしてこんなにおいしいのかしら! おかわりを頂戴な!」
温かな食事を囲んでのパメラとアルベルティーヌの話題は尽きない。理想的な淑女としては望ましくない振る舞いかもしれないが、二人は美味しい夕食を口にしながらお喋りをすることがなにより好きなのだ。
パメラのつくったシチューをアルベルティーヌは大絶賛し、「またウサギを捕まえなきゃ」と意気込む。馴染めぬ田舎暮らしに当初は食欲がほとんどなかったアルベルティーヌの乳母も、ここ最近はモリモリ食べるようになった。
パメラとアルベルティーヌの怒涛の会話の中で、申し訳程度に怪しげな集団について食卓の話題に上がった。アルベルティーヌは「貴族がこんな田舎にねえ」と首をかしげ、ダグラスも顔をくもらせる。
しかし、いつのまにか二人の話題は冬の食料の調達に変わってしまった。ふたりの中では、食の話題はいつでも最優先なのである。