悪役令嬢ふたりの、のほほん(?)サバイバル暮らし
王子ときたら大事件
「今日は野ブドウが大量に採れましたわね!」
今日も今日とて裏の森から食料を調達したアルベルティーヌとパメラは、籠いっぱいの野ブドウを前に満足げに微笑み合った。
うららかな午後の日差しがさしこむキッチンで、パメラは腕まくりをする。
「さあ、野ブドウは今日のうちにジャムにしてしまいましょう。そうすれば、日持ちしますのよ。そうだわ、アルベルティーヌさん。いくら不器用な貴女でもジャムのつくり方くらいはお分かりよね?」
「も、もちろんでしてよ。野ブドウを、……よく叩くんでしょう? こう、ジャムになるまで……」
「違います! ちょっと、すりこぎを構えないでくださる!? 確かに物理で叩けばジャムっぽくなるかもしれませんが、大外れでしてよ! まったく、わたくしがちゃんと手ほどき致しますから――」
得意げにパメラがジャムのつくり方についてペラペラ語り出したその時、ふいに玄関からふたりを呼ぶ声がした。護衛騎士、ダグラスの声だ。
「ダグラス、そんなに慌ててどうしたのです」
「アルベルティーヌ様、お、お客様が!」
「……わたくしにお客様? 何かの間違いじゃなくて?」
アルベルティーヌは怪訝そうな顔をする。この1年間、田舎に追放されていた彼女を訪ねてくる人はゼロ。彼女が耳を疑ったのも当然だ。
全力疾走してきたのか、ダグラスは息を切らして壁に手をつく。心なしか顔色が悪い。なにやら一大事のようだ。彼は息を整えると、軽く咳払いした。
「……っはあ、……じ、実は王子殿下が……、いらっしゃったのです!! すぐに、面会したいと……」
「「えーーッ!?」」
今日も今日とて裏の森から食料を調達したアルベルティーヌとパメラは、籠いっぱいの野ブドウを前に満足げに微笑み合った。
うららかな午後の日差しがさしこむキッチンで、パメラは腕まくりをする。
「さあ、野ブドウは今日のうちにジャムにしてしまいましょう。そうすれば、日持ちしますのよ。そうだわ、アルベルティーヌさん。いくら不器用な貴女でもジャムのつくり方くらいはお分かりよね?」
「も、もちろんでしてよ。野ブドウを、……よく叩くんでしょう? こう、ジャムになるまで……」
「違います! ちょっと、すりこぎを構えないでくださる!? 確かに物理で叩けばジャムっぽくなるかもしれませんが、大外れでしてよ! まったく、わたくしがちゃんと手ほどき致しますから――」
得意げにパメラがジャムのつくり方についてペラペラ語り出したその時、ふいに玄関からふたりを呼ぶ声がした。護衛騎士、ダグラスの声だ。
「ダグラス、そんなに慌ててどうしたのです」
「アルベルティーヌ様、お、お客様が!」
「……わたくしにお客様? 何かの間違いじゃなくて?」
アルベルティーヌは怪訝そうな顔をする。この1年間、田舎に追放されていた彼女を訪ねてくる人はゼロ。彼女が耳を疑ったのも当然だ。
全力疾走してきたのか、ダグラスは息を切らして壁に手をつく。心なしか顔色が悪い。なにやら一大事のようだ。彼は息を整えると、軽く咳払いした。
「……っはあ、……じ、実は王子殿下が……、いらっしゃったのです!! すぐに、面会したいと……」
「「えーーッ!?」」