私の気持ちを思い知れ
それもそのはず。

この学校内で彼を探すことが少し楽になったからだ。

それにこの黄色い歓声の正体は…?

「新入生の皆さんこんにちは!

氷室蒼真です…」

自分の人気を把握している彼は、それに見合う爽やかな声で挨拶の言葉を述べ始めた。

確かに不覚にも私でもかっこいいと思ってしまう。

しかしこの人が姉を自殺に追いやった人だから、こんな表面も精々取り繕っているだけだろう。

そう思った瞬間、私は彼が憎い相手にしか見えなくなった。


「以上で、挨拶といたします。

入学してきた新入生の皆さん、これから勉強に頑張りつつ、楽しい3年間を過ごしてくださいね!」

柔らかな笑顔と共に、彼はステージを下り、自席に戻った。

ふとあたりをチラッと見ると、女子たちの目がハートになっている。
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