私の気持ちを思い知れ
この生まれ持った顔立ちの良さ、頭脳のお蔭で。
でも全てがうまくいくなんてことは、無かったんだ。
それを俺は2年前に嫌というほど、思い知らされた。
「行ってらっしゃい、蒼真」
あっという間に週末を終え、また1週間が始まった。
母さんに見送られ、俺は学校へと向かう。
徒歩圏内に学校があることは、とても便利だ。
「蒼真君、土曜日はありがとう」
「とても楽しかったよ」
学校が近づくと、先週の土曜日に一緒に出掛けた女子たちから声をかけられる。
正直名前なんて覚えていない。
覚えようとする気が沸かないのだ。
少し遊んだだけで、距離を詰められる。
まぁそれだけで俺に寄ってくる女子たちは喜んでくれるから、満更でもない。
「楽しんでくれて良かったよ」
俺は当たり障りなく、彼女たちに無難な言葉を渡した。