私の気持ちを思い知れ
「本当に?
もしかしたらさ、数年前から俺のことを知ってるってことなかった!!?」
俺は我を忘れて、彼女に縋りつくように両肩を掴み、勢いのまま訊いてしまう。
「落ち着いてくださいよ、氷室さん。
あたしは高校に入学する前まで、隣の県に住んでいました。
そして入学をきっかけに、こっちの県に移りました。
もしかしたら知らないうちに町で、すれ違ったことがあるかもしれないくらいですよ」
彼女は妙に冷静に俺に説明をする。
普通仲良くもない異性からこんなに迫られたら、冷静でいられないはず。
それなのに淡々と説明してくる彼女。
俺はどうしても彼女と俺が全く知らない人に思えない。
「そっか…。
それもそうだよな。
ごめんな、迫ったりして」