愛しているから 好きにしろ
驚いて、先輩の顔をじっと見つめる。
「……ヒック。ほんとうに?わらしでいいの?」
「そうだな。この鼻水でぐちゃぐちゃなお前がいいんだよ、困ったことに」
そう言うと、ハンカチを出して私の涙と鼻をかんでくれる。
「まったく。奈由。そろそろ観念しろ。結婚するぞ。いいな」
私は彼に抱きついた。
「好き。大好き。結婚でもなんでもする。先輩が好きなの。どこにも行かないでお願い」
先輩は、私を見ると目の上に軽いキスをくれた。
「何でもって……。そうか。じゃあ気が変わらないうちにとっとと婚約発表と行くかな?でもその前に一応、お前のご両親にご挨拶に行こう。気持ちは大分前にお父さんにお伝えしてあるがきちんとしないとな」
え?お父さんに伝えてある?
お姉ちゃんには引っ越しの際に挨拶して伝えてあるけど、お母さんにも付き合っている人がいることは言っている。
でもお父さんには言ってないよ。お母さんが話したのかな?
「心配させないように、俺と爺からお父さんには話してある。安心しろ」
「えー?!」
ほくそ笑んだ先輩は私を抱きしめるともう一度深いキスをくれた。