愛しているから 好きにしろ

 「奈由。よく決心してくれた。ようやく家族じゃ。万歳三唱じゃ!」

 そう言うと、おじいさまは杖を離して、ひとりで万歳をはじめた。

 お願い、手を離してからやって下さい。

 「奈由さん。これからはずっと一緒よ。私が死ぬまで。ふふふ。ふふふ」

 おばあさまが、にまにましてる。

 婚約することを喜んでくれたのね。

 「……どうぞ、これからもよろしくお願いします。ふ、ふつつかものですが……」
 「そんなことは前から知っておる」
 「そうね。それでいいのよ」
 「……」

 褒められてるの?けなされてるの?

 目を白黒させていると、おばあさまが言った。

 「こんな可愛い子を嫁に出来るなんて、達也は本当に何か持って生まれてきたのね。でも、人生はこれからよ、奈由さん。女はね、結婚すると色々自分を抑えて変えていかないといけなくなる。この家はそれが他の人よりも多いかも知れない。でも、私もそうやってここまで来たわ。大丈夫だから、楽しんでお嫁さんをしてなさい」

 「おばあさま……」

 ウインクしてみせるおばあさま。あー、ホントに可愛いのはおばあさまだから!

 私もこういう風に年を取っていきたい。

 
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