愛しているから 好きにしろ
後ろに控えてことの成り行きを黙って見ていた祐子さんが、ようやくこちらに呼ばれた。
おばあさまが、祐子さんを見て頷いた。
「奈由様。今日はまず、こちらに百貨店の外商が来ておりますので、そちらで当面のフォーマル、セミフォーマルの洋服、靴、鞄、装飾品などをオーダー致します。そして、一部お持ち帰り頂いて、必要なときは着ていらして下さい。それが午前中の予定です」
「奈由さん。お昼は下で私達ととりましょうね。午後は、結納の着物を選びます。お着付けしましょう。それからそちらのお宅と三橋のほうで準備する結納品なども説明があります。三時頃に一度お茶をして、終わらなければ……」
ひー、私大丈夫かな?
「奈由さん。そんな顔しない。いいですか?明日からお作法の授業も受けてもらいます。立ち居振る舞い、茶道やテーブルマナー、華道など親族への披露目の前までに形にしましょうね」
「……はい。が、頑張ります。よ、よろしくお願いします」
私、本当にこの家に嫁いでよかったんだろうか?詩乃、こういうことを言っていたんだね。
早く詳しく言って欲しかった。
大変だよー、できるのかなー。
百貨店の外商の女性が入ってきて、お着替えしましょうと連れて行かれた。
まず、下着になって下さいと言われ、脱いだら黙ってしまう。
確かに、人様にお見せするようなプロポーションではないですが、黙られるのはきつい。
「……まず、下着を替えましょうか。きちんとしたサイズを合わせたモノ。そして、薄いドレスを着ても身体の線が綺麗に見えるモノ。実は、服よりも下着で全てが決まると言っても過言ではないのです。立ち姿に違いが出ます。お嬢様の姿勢はとてもよいので、下着を替えたらよくおなりでしょう」