愛しているから 好きにしろ
外商さんが言う。
「メイク道具も美容担当のほうからご案内させて頂く予定です。そちらはまたお日にちを改めまして」
「……はあ」
ぐったりしたところで、今日はこれまでにといって、帰って行った。
時計を見ると12:30。お腹すいたー。
祐子さんに促されて、下のダイニングに入る。
美味しそうなランチが並んでいる。
おじいさまとおばあさまはすでにスープを飲み始めていた。
「奈由、かわいいのう」
「奈由さん、そのワンピースとてもお似合いよ。それに、なんだかとってもステキになりましたね。よかったわ」
「……馬子にも衣装です」
「そんなことはないぞ」
「そんなことはありません」
合唱する二人。
ありがとうございます。
その後、午後に入り、今度は和服のリカちゃん人形。
これがまた、すごくて。
鏡に映る自分が信じられない。
お父さん、お母さん。私、やばいところにきてしまったかも知れません。
ごめんなさい。やっていけるかどうか、心配です。
全部説明を受けて、夜近くなってあらかた【結納とは】という講義は終了した。
三時のアフタヌーンティーが美味しかったので、まだそんなにお腹はすいてない。
和室で目を閉じてぐったりしていると、ノックの音がしてはいどうぞというと誰か入ってきた。
「祐子さん。終わりましたよー」
私が答えると、返事がない。
すると、私の身体を後ろから抱きしめる手。
この香り。
「先輩?」
「……奈由。お疲れ様」