愛しているから 好きにしろ
 愛されて幸せだ。それだけのものを私が返せる自信がないの。
 先輩に寄りかかってぐったりしていると、頭にキスをひとつ落とし、私を抱き上げた。

 「え?」

 部屋をでて、三階に行く。
 一番奥の部屋を開けると、広いリビング。
 その奥のドアを開けると大きなキングサイズのベッドがある。

 「ここが、俺たちの寝室だ。リビングとバスルーム。それに、俺の書斎とお前の部屋が繋がってる。三階は俺たちの階になる。子供ができれば、また考えるがな。爺さん達は、足腰もあるので一階。いままで、二階を俺が主に使っていた。来客も二階。二階は先ほどの和室や茶室、大きなサロンもあるからな。この三階の俺たちの部屋はお前の好きにかえてもいいぞ。家具や壁紙とか」

 先輩に抱きついて周りを見回す。
 新婚用の感じになってる。少し恥ずかしい。

 「それと、奈由。俺を先輩と呼ぶのをそろそろ卒業してくれ」
 「……え?」

 「名前で呼んでくれよ」
 「……た、た、た」

 「……おい」
 「た、たかや」

 「違うだろ。お前ふざけてるのか!」
 そ、そうだった。えーと、急に言われても。心の準備が。

 「達也先輩」
 「だから、先輩は卒業」

 「呼び捨てなんて出来ない。達也くん?」
 下から先輩をのぞき見る。
 先輩は、私を見て赤くなり、顔を背けた。

 「はー。破壊力半端ない。もう一回」
 「達也くん」

 ぎゅっと私を抱きしめるとベッドへ倒した。
 「奈由。愛してる」

 ……そのまま、彼と朝を迎えた。
 
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