愛しているから 好きにしろ
「瞳さん。遠縁になるということですし、ぜひ社交界について教えて下さい。私はその辺の普通の家の娘ですので、今もお辞儀の練習とかさせられてるんです。今日も背中が痛くて。定規で叩かれるんですよ。瞳さんみたいな素敵な女性になりたいので、ぜひ今度色々教えて下さい」
瞳さんは、びっくりしたように私を見た。
「いいわよ。あなたは年いくつ?」
「私はもうすぐ27になります」
「私と同い年じゃない。いいわね、仲良くしましょ。後で連絡先を交換しましょう」
「……奈由お前」
「はは、これはすごい嫁さんが現れた。なるほど会長が気に入るはずだ。うちの二人の息子の嫁もこういっちゃなんだが、かなりいい嫁なんだが、これは強敵だ。やるなあ、達也君」
「……はあ。ありがとうございます」
隣であっという間に仲良く笑顔で話し始めた瞳さんを見ながら、社長は達也君に言った。