愛しているから 好きにしろ
優しくて、可愛くて、大人しくて。
ふーん。
どれも当てはまらない気がするのは気のせいですかね。
今度は私の周りに黒い雲が出てきましたよ。
達也君は、男性達から質問攻めにあっている。
こっちのことには気づいていない。
「あの。教えて下さい。三橋さんは、会社では女性とお付き合いしていなかったんですか?」
小声で聞いてみる。
「え?そんなこと聞いてどうするんですか?」
「いえ、ちょっと気になって」
「そうですねー。結構前からモテモテでした。営業から業務に異動されてすぐに役員にもなられたので、高嶺の花になってしまって。でも営業時代は結構周りにいましたね。言えませんけど、女泣かせで有名でした」
言えませんけど、って言ってるよ。
「今日は落とせるとか言ってた美人の子がやっと差しで食事に行って。でも終わったら解放されてしまって、泣いてたり。まあ、本部長もイケメンだから許してあげて下さい。で、いつ、結婚されるんですかー?」
「……」
私の顔色が変わってきたので、女性陣がおびえて下がり始めた。