愛しているから 好きにしろ
 
 取締役室という部屋に押し込まれて、鍵を閉められた。

 「奈由。何か誤解しているようだが、俺はお前一筋だ。他の女を見てどうこうなろうなんて思ったことないぞ。何を言われても信じるなよ」

 「……彼女達は嘘は言ってないと思います」

 「奈由。なんでそんなに怒ってるんだ。嫉妬か?」

 「他の女の人、しかも達也君が好きだと思っている人とふたりっきりで食事とか、いくらなんでもあり得ない」

 「いや、それは事情があってだな」

 「へー、事情」

 「奈由。だから、お前が言うようなケースではないんだ。彼女の相談に乗っていてだな」

 「わかりました。よーくわかりました」

 「奈由、待ってくれ。やめてくれ。その目」

 「……別に。私は今まですごく怒られてきましたけど、これからはやりたいようにやらせてもらいますから」

 「いい加減にしろよ、奈由」

 達也君の声色が変わり、怒っている声になった。

 私は怒りもあるが、悲しくて涙目になった。
 
 
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