愛しているから 好きにしろ
「ごめん。言い方悪かった」
「愛されてるのはわかってる。でも、会社ですごい人気者だった。女性達も本気だったんだろうなってすぐにわかった。そういう人の相談に乗るとか……相手は本気で相談してるわけじゃないよねきっと。先輩と付き合いたいからいいわけを作った。やっとふたりで出かけて、きっとモーションかけた。先輩が気づいてないなんてありえない。そう、私が馬鹿なの。別な女の人と関係があっても私気づいていなかったと思う。私も傲慢だった。安心しきってた。そういうことがあるんだと今日初めてわかったの」
「……だから、関係はなかったと思うよ」
「どうして、そう言いきれるの?先輩なら上手に隠せると思う」
「うーん。そうね、隠すことは出来るかも知れないけど。それを奈由に知られたとして、浮気を理由に奈由が去ったらってチーフが考えないと思う?とにかく、奈由が自分からいなくなってしまうことのほうが心配だろうから、奈由に別れの理由を与えるような浮気は絶対しないよ。断言できる」
「……」
確かに、それはそうかもしれない。
私がいなくなったら、先輩壊れそうな気がする。
「ね?今だって、きっと血眼で探してるよ」
また、詩乃に電話が来る。
「あ、ヒデだ。ごめん。ちょっと出る」
そう言って、別な部屋に行ってしまう。