愛しているから 好きにしろ
 
 そうか。血眼になって探してるとすると、会社とかにも連絡してそうだな。

 まずい。榊社長に迷惑かけたくない。

 会社の携帯を見てみると、案の定、社長から着信と連絡しろと一言。

 ひえー、達也君より怖いかも。

 二時間前。まずいな。

 最新のメールは、え?【首になりたいのか?】……嘘でしょ。



 詩乃が入ってきた。

 「まずいよ、奈由。ヒデにも連絡が行ってる。すごい怖かったって。嘘ついたらゆるさんとか言ってたらしい。ヒデがおびえてる。これは、連絡すべきだよ」

 「……わかった。とりあえず、職場に連絡する。そっちにもおそらく脅迫したんだ。だから私が脅迫されてる。なんなのよ、もう」

 「どういうこと?」

 「社長が連絡してこないなら首にするってメールが来た」

 「だから、チーフの知り合いのところで働くのは反対だって言ったんだよ。別れたとき、仕事もなくすよ。こういうこと、わかった?」

 「そうだけど、社長の会社は行きたいところだったし、先輩が頼んだわけじゃないし」

 「ハイハイ。分かりましたから、とにかく連絡しなさい。私がチーフには連絡してあげる。今日は泊めてあげるから。少し考える時間をあげてって頼んでみるよ。会社は自分でなんとかしなさいよ」

 「……詩乃、ありがとう。そうして下さい。詩乃大好き」

 「はー。いい年して、大好きもあったもんじゃないよ。まったく。私も奈由が大好きだよ。困ったことに今でもね」

 

 
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