愛しているから 好きにしろ
 
 そう言うと、また別室に行って、先輩に連絡してくれた。
 先輩の怒鳴り声が聞こえる。

 詩乃も怒ってる。
 赤ん坊が起きるって一喝してる。

 静かになった。
 私は安心して、ようやく社長に連絡した。

 「平野。いい加減にしてくれ。けんかはしてもいいけど、巻き込むようなけんかはすんな」

 「申し訳ございません」

 「連絡したんだろうな?で、今どこにいるんだ?」

 「親友のところです。今、親友から連絡してもらってます。彼女は先輩のことよく知っているので」

 「やっぱりそこだったのか。大騒ぎしていたぞ。お前。会長とかの耳に入ってるぞ、きっと。普通の家じゃないんだから、感情で動くのは危険だぞ。早く帰れ。大事になる前に。実家にも連絡しろよ。大騒ぎになってるぞきっと」

 そうだ。そうだった。
 お姉ちゃんところにもきっと連絡してる。まずいな。

 「わかりました。ご迷惑おかけしてすみません。それと、ミツハシの業務の資料もらえなかったので、明日……」

 「そうだ、言ってなかったがお前はもうミツハシの記事は書けない。なので全部課長に預けろ。いいな。じゃあ、俺は帰る」

 
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