愛しているから 好きにしろ
部屋に戻ると、赤ちゃんが起きてしまったのだろう。詩乃は授乳中だった。
私は意を決して携帯の電源を入れた。
ひーこれ何?
先輩三十件。親、友達、お姉ちゃん。
それに。ミツハシの社長と奥様。
え?瞳さん。
お手伝いの祐子さん。
やばい。これはやばい。
とりあえず、ミツハシの社長と奥様は先輩から連絡行くと思うけど、実家に連絡する。
怒鳴られた。ひー。久しぶりの雷。
でもお姉ちゃんは怒ってなかった。
笑って聞いてくれた。
瞳さんにはメールして平謝り。
祐子さんにもメールした。
すると、すぐに祐子さんから電話が来る。
「はい?」
「奈由。何しとるんじゃー」
お、おじいさま。えー?
「達也が何かしたんじゃな。逃げずともわしに言えば、あいつをとっ捕まえてわしが叱ってやったのに。逃げないでわしの所に来なさい。悪いようにはしない。富美もわしも、達也ではなくお前の味方だ。安心しなさい」
そ、そうなの?
「す、すみません。あの、今日はとりあえず友人のところにおりますので、明日以降ご挨拶に伺います。ご心配おかけして申し訳ありませんでした」
「奈由さん?私よ。心配したわよ。とにかくね、一度達也に連絡しなさい。あの子があんな風になったのは初めてだわ。ちょっと心配なのよ。あなたの言いたいことは必ず後で聞いてあげますから。ね」