愛しているから 好きにしろ
 
 部屋に戻ると、赤ちゃんが起きてしまったのだろう。詩乃は授乳中だった。

 私は意を決して携帯の電源を入れた。

 ひーこれ何? 
 先輩三十件。親、友達、お姉ちゃん。
 それに。ミツハシの社長と奥様。
 え?瞳さん。
 お手伝いの祐子さん。
 やばい。これはやばい。

 とりあえず、ミツハシの社長と奥様は先輩から連絡行くと思うけど、実家に連絡する。

 怒鳴られた。ひー。久しぶりの雷。

 でもお姉ちゃんは怒ってなかった。
 笑って聞いてくれた。
 
 瞳さんにはメールして平謝り。

 祐子さんにもメールした。
 すると、すぐに祐子さんから電話が来る。

 「はい?」

 「奈由。何しとるんじゃー」

 お、おじいさま。えー?

 「達也が何かしたんじゃな。逃げずともわしに言えば、あいつをとっ捕まえてわしが叱ってやったのに。逃げないでわしの所に来なさい。悪いようにはしない。富美もわしも、達也ではなくお前の味方だ。安心しなさい」

 そ、そうなの?

 「す、すみません。あの、今日はとりあえず友人のところにおりますので、明日以降ご挨拶に伺います。ご心配おかけして申し訳ありませんでした」

 「奈由さん?私よ。心配したわよ。とにかくね、一度達也に連絡しなさい。あの子があんな風になったのは初めてだわ。ちょっと心配なのよ。あなたの言いたいことは必ず後で聞いてあげますから。ね」

< 143 / 151 >

この作品をシェア

pagetop