愛しているから 好きにしろ
 
 腕を引かれて出ると、ロビーに入ると三橋様と言って、ホテルの支配人の名札を付けた人が来る。

 「いつもの部屋空いてる?」

 そう聞くと、支配人はすぐにフロントに行って、鍵を持ってくる。

 鍵を受け取った先輩は、私の腕をつかんだままエレベーターへ。

 黙ったままで部屋まで連行された。

 ジュニアスイート。
 こんな部屋、いつもの部屋なの?

 私来たことないけど。
 さっきの嫉妬が再燃する。

 私をベッドに放り投げると、上から覆い被さってくる。

 怖い。目の色が変だ。

 「奈由。言い訳があるなら聞いてやろう。で、別れたいのか?」

 「……怖い」

 「え?」

 「こ、怖いから、やめて……」

 目の前が涙でかすんで何も見えなくなった。
 
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