愛しているから 好きにしろ

 「……奈由」

 「そんなに怒らないで。わ、わかれるなんて思ってない。お仕置きしたかっただけなの。いつも怒るから私のこと」

 ボロボロと涙が出てきた。

 声を上げて泣いてしまう。


 達也君は、私を囲んでいた腕を放して、ベッドに腰を下ろした。

 「奈由。俺は本当に驚いた。お前が俺から逃げるなんてな。俺も悪かったが、信じてくれてないのが悲しかったんだ。こんなに愛してるのに、お前まだ俺のこと信じてないんだな」

 「……」

 涙が出て、身体が震える。

 どうしたらいいの?

 こんなに怒った先輩初めて見た。

 震える身体で先輩にしがみついた。

 子供のように泣きじゃくる。

 先輩は、最初抱きつかれるままで、抱き返してくれなかった。

 それが怖くて、さらに、しがみついた。

 すると、ようやく震える腕が私の周りを囲って、抱いてくれた。

 先輩も震えてる?

 「奈由。お前がいなくなったら、俺は壊れる。恐らく、今俺は壊れてる。電話しまくって、いろんなヤツに色々言われたが、聞こえなかった。どうでもいい。お前がいないんなら、そいつらの話なんて聞いてる暇はない」

 「ごめんなさい」

 
 
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