愛しているから 好きにしろ
turn3 バトル開始
翌日日曜日。午後からバイトに入る。
なんか、昨日のこともあって浮き足だっているかも。
詩乃とロッカールームで入れ違いになった時、付き合うことを報告した。
「やっとか。良かったね、奈由。」
「何それ?」
「あんた達の間にいた私がどれだけ気を遣ってきたことやら。特に晴人。涙ぐましい陰の努力に乾杯。」
……む。なんだか私が悪いみたいな言い方じゃない?
詩乃をにらんでたら、笑われた。
「とにかく、晴人も恋人にならないと守り切れない感じなんだよ。」
「よく言うわ。私もしかして、晴人の虫除けだったりして。」
「……あんたね。まあ、気持ちは分からんでもないけど、晴人の奈由への思いは確かだよ、見てきた私が断言する。知らぬは仏だね。」
肩を叩いて、詩乃が帰って行った。
今日は店長がいて、タカヤ先輩は休みだった。
篠宮さんもいない。
とりあえず、1人でできるようになってきたので、黙々と仕事をこなして、9時にあがった。
駅前でタカヤ先輩と篠宮さんが歩いているのを見かけた。
篠宮さんがタカヤ先輩の腕に手をかけている。
タカヤ先輩がその腕を放して、篠宮さんの背中を改札へ押していく。
篠宮さんが改札を通り抜けて、タカヤ先輩のほうを振り向く。
じっと見てしまった私と目が合った。
篠宮さんが私に気づいてニヤリと笑った。
私はどういう意味かわからないけど、とりあえず会釈を返した。
すると、踵を返したタカヤ先輩が私に気づいた。
「子リス、バイト帰りだろ?」
近寄ってくる。
何?篠宮さんとデート?篠宮さんがこちらを見てる。
つい、後ずさって、転びそうになる。