愛しているから 好きにしろ
すると、タカヤ先輩が走ってきて腕を伸ばし背中を押さえてくれた。
「あ、すいません。」
「相変わらずお前は……帰るぞ。」
手を握られて、マンションへの道を歩き出した。
黙って歩いていると、急に止まった。
何?タカヤ先輩のほうを見つめる。
「なんだよ。どうした?聞きたいことでもあるのか?」
「……いいえ。篠宮さん、タカヤ先輩のこと好きなんじゃないですか?」
面倒くさいから、ズバッと言ってしまった。
「和樹、いや本郷ともめてるらしい。話を聞いてほしいと言われて会っただけだ。」
「そうですか。それはお疲れ様でした。」
「……お前なあ、なんだよその言い方。」
「別に。」
歩き出していた私の腕をタカヤ先輩がつかんだ。
「奈由」
タカヤ先輩が私の名前を呼んだ。
びっくりして、顔を上げると私のことを見つめている。
「俺が好きなのは、お前だ、奈由。」