愛しているから 好きにしろ
 びっくりしすぎて、固まってしまった。え?

 「お前の天然なかわいさにやられちまったらしい。店で偶然また会ったときから気になって仕方なかった。構いたくってしょうがねえんだ。俺自分でも小学生かと思ったわ。今日もお前のシフト分かってたから、迎えに行くつもりだったんだ。」
 
 「あ、あの。」

 マンションの前に人影が見えた。

 晴人だ。こっちを見て走ってくる。

 「奈由、メール見てないのかよ。」

 タカヤ先輩は後ろから声がして、ビクッとして振り向いた。
 私の顔をゆっくりと見て、顔をこわばらせた。

 「晴人、ごめんね。気づかなかった。タカヤ先輩、同級生の晴人です。」

 「はじめまして。奈由と付き合っている高木晴人です。奈由のバイト先の方ですか?」

 晴人が目を光らせて私の肩を抱き寄せると、タカヤ先輩に向き直って宣言した。

 「はじめまして。三橋です。最近付き合い始めたのか?この間聞いたときはフリーだったよな。」

 私に向かって、苦笑いしながら聞いてくる。

 「ええ、最近そういうことになりました。まあ、一年の頃からこいつの側にいたんで、あんまり変わってないんですけどね。」
 晴人が私の代わりに答えた。

 「ふーん。そう。わかったけど、まあ、俺は俺のやり方でいくからさ。一応宣言しとくかな。」

 タカヤ先輩は晴人より少し高い位置から晴人を笑いながら見て、答えた。

 晴人は、私の肩をぎゅっと力を入れて抱くとタカヤ先輩をじっと見つめた。

 「子リス、また明日な。」

 そういうと、マンションのエントランスへ1人で歩いていった。
 
 
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