愛しているから 好きにしろ

後手はタカヤ先輩

 
 今日はバイトの日。

 昨日から晴人が教育実習のため、実家に帰った。

 こちらに戻るのは二週間から三週間後になる。


 だいぶ、バイトには慣れてきた。

 もはや、篠宮さんに習うことはなくなった。

 よく見ると、篠宮さんはタカヤ先輩に絡んでいることが多い。

 好きなのかな?そうだよね。というか、付き合っていたはずの本郷さんはやめていなくなっている。

 どういうことよ?これだからバイト先で付き合うのは良くないよね。ていうか、職場はやばいと学ぶのである。


 まあ、詩乃とヒデ君のように長ーい付き合いの人たちには別れとかいう単語は思いつかないけど。

 何しろ、遠距離二年乗り越えて、今まさにラブラブ絶好調って感じだもんね。

 見てると恥ずかしいのはこっちだよ。


 私と晴人もお付き合いをはじめたところで遠距離になりましたが、うーん、あんまり寂しくないんだよね。

 もともと、友達で丸二年経過しているし、どんな人か知っているというのもあって、良い意味で執着していない。

 なんか、行く前に晴人がぐちぐち言ってたけど、そんなこと起きるはずもないじゃん。

 タカヤ先輩に告白されたことを心配している。だけど、あれ以降全然そういう雰囲気にはならない。

 アレは何かの夢だったのでは?なんて思うくらい。

 ただひたすらいじられて、いじめられてる。



 何?また、厨房のところからタカヤ先輩が手招きしてる。

 もう。いつも私に運ばせるのどうしてなの?

 「平野さん、チーフが呼んでるよ。」

 隣で本郷さんの代わりに入った新人君がこそっと言う。
 
 わかってるよ、そんなの。行きたくないから行かないの。

 すると、「子リス!」タカヤ先輩の声がする。
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
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