愛しているから 好きにしろ
何故か、また同じ方向へ歩き出す。
角を曲がり、ずっと歩くと左へ曲がる。ん?
もしや。そして、そのコンビニを右に。
前を行く彼が振り向いた。
「あのさ。もしかして大学生?」
「そうです。あなたも?」
とりあえず、朝から接点が出来たみたい。
「俺、経済学部の三橋といいます。四年生。」
「私は、文学部の平野です、三年です。」
なんと、先輩だったのか。
「文学部ということは、今年からこのキャンパスか。だから会わなかったんだな。」
「そうなんです。来たばっかりです。」
よく見ると、リュックだし、スニーカーだし、大学生だよね。
でも、ジャケット羽織って、細身の紺のパンツでくだけすぎずいい感じ。社会人にも見えた。
「二限だろ?」
「そうです。」
「じゃ、ここまでだな。おれは八号館。君、きっと三号館だろ。」
すごい、さすが四年生。学部棟も把握してるのか。
「またな、平野サン。」
三橋さんはニヤッと笑うと、くるりと背中を向け左側へ歩き出した。
うーん、カッコいいな。
なんか、前のキャンパスにはあんな大人っぽい人いなかったから、ちょっとこっち来て期待しちゃう。
さすが都心部。ふふふ。
教室入ると、友達がすでに座って手を振っていた。