愛しているから 好きにしろ

 私、ひどい恋人なのかなあ。

 なんて考える暇もないくらい、夜は忙しくなった。

 明日休日だから、夜のお客様が多い。

 九時までだったけど、人が足りなそうなので残って最後までいた。

 タカヤ先輩が送っていくんだから働けとか言うし。

 しょうがないよね、みんな大変そうなんだから。

 あー疲れたあ。

 最後まで片付けして、ロッカーでお先に、という人たちにお疲れ様といいながら、着替えをする。

 肩がこるから首をぐるぐる回しながら出てきたら、後ろからタカヤ先輩が私の肩を急に揉み出した。

 「わっ!やめてくださいよ、びっくりしたー。」

 周りを見ると、電気が落ちて誰もいない。

 チーフだからタカヤ先輩が施錠して帰ることが多い。店長より多いってどういうことなんだ?

 肩を揉む手が私の首に回り後ろから抱きしめられた。

 「タカヤ先輩?」

 「はー。お前、俺のこと全く意識してないだろ。俺、一応お前に告ったんだけど。」

 「……そうでしたっけ。やっぱ夢じゃなかったんですね?」

 「おい?」

 私の前に回ってきて、私の顔をじっとのぞき込む。

 「どういう意味だ。」

 「えーっと。あんまり、告白されたって言う感じじゃないから間違いだったかなーなんて思ってました。」

 「……。」

 「先輩?」

 
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