愛しているから 好きにしろ
 
 タカヤ先輩は急に私の腕を引いて、顎をつかむとキスをした。

 びっくりして、胸を押し返す。

 「意識したか?」

 「……どうして?」

 すると、もう一度引き寄せられてキスをされる。

 先ほどのように合わせるだけのキスじゃない。
 かみつくようにキスをする。

 口を開けろと言っているが、開けてあげない。

 「お前、いい度胸だな。」
 キスをやめると、私を上から見て先輩は言った。

 「タカヤ先輩、私のこと本当に好きなの?」

 「だから、好きでもない奴にキスなんてしないだろうが。」

 「する人もいるって聞いたし……それに。」

 「それになんだ。」

 「タカヤ先輩は私をいじめて遊んでるんじゃないんですか?」

 「……じゃあ、明日から作戦変更だ。今日帰るときから変更しよう。」

 「?……何の作戦ですか?」

 「お前を落とす作戦だよ。」

 「ちなみに私、彼氏います。」

 「そうだな。そう言ってたな、あいつ。本当に付き合ったのか?」
 
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