愛しているから 好きにしろ
油断していたのもあって、最初から舌が入ってきた。
キスがうまい。
晴人と比べるといけないとはわかっているんだけど、驚くほど。
翻弄されて、離れられなくなってしまった。
彼の腕が身体にからまって、口から吸い取られてしまいそう。
頭がぼんやりする。
ふっと力が抜けて、倒れそうになる。
キスをやめた先輩が私を優しく抱き留める。頬をなでている。
「……可愛い奴。すぐに食べたい。でも今日は我慢する。俺の気持ちがわかったか?お前も自分の気持ちを見つめ直せ。」
そう言うと、私の左手を自分の左手で握って、右手で私の肩を抱く。
暖かい。マンションに向かって歩き始めた。
疲れもあって、眠りそうになるのを、上からクスクス笑って先輩が見てる。
時たま、左手をぎゅっと握って爪を立てるから目が覚める。
そうして、ふわふわしながら家の前まで送ってもらった。
家のドアの前でまた軽くキスされて、じゃあな、といなくなる。
私はぼんやりしながらドアの鍵を開けて部屋に入った。