愛しているから 好きにしろ

 私は、一応休憩室のドアを閉めて、鍵をする。

 「原口さん。君、しっかりしてるね。ヒデはいい加減なところがあるけど、君が支えてるんだな。」

 「え?あ、ありがとうございます?」

 「いや、いいけどさ。子リスとは正反対だね。」

 「奈由は、ああ見えて真面目で割と頑固です。」

 「……そうだな。知ってるよ。だから苦労してるんだよ。」


 「面倒くさいから単刀直入に聞きます。奈由に何かしましたか?」

 私の顔をじーっと見る。

 「何かしたとして、それが何か?」

 「そうですね。一応親友としては本人に聞ければ良かったんですけど、今日具合も悪そうで聞けなかったんです。でも、親友の勘でチーフが行動を起こした可能性が高いと思いまして。」

 「原口さん。特別に教えよう。勘は当たりだけど、行動っていうのが君が思うほどの行動ではないかもしれないけどね。」

 私は、言われた言葉の意味をすごい勢いで頭の中で翻訳した。

 「私が考える行動は、少なくとも彼女に告白して多少手を出したってところです。チーフは手込めにするタイプには見えないので。」

 三橋さんは、上を向いて笑い出した。

 「君って……まあ、いいや。ほぼ当たりだな。俺のこともよく見てるんだな。これは侮れない。」

 「認めちゃうんですね。」

 「そうだな、君相手に何かしても無駄だと悟ったこともあるし。奈由の親友だから味方につけるべき人だろ。」

 「……。」

 親友か……。晴人の顔が浮かぶ。私を味方と思っている晴人を裏切るなんて出来ない

 
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