愛しているから 好きにしろ

奈由の迷い


 ……どうしよう。


 バイトの帰りにキスされたときから、私は様子がおかしくなった。

 自分で言うのもなんだけど。

 あの吸い取られそうな目で本当に吸い取られそうなキスをされて。

 どうして、拒めない?


 自分でもわかる。
 
 タカヤ先輩にいじられても嫌いになれなかった、それどころか認めたくなかったけど強烈な個性に惹かれている。

 キスして、タカヤ先輩が本気だ、意識しろって言った。

 くれたキスが私を好きだと言っていた。

 心が入っているようなキスだったの。

 そのせいで、私がタカヤ先輩を見るたび気持ちを押し込めることが出来なくなっている。


 晴人は……。

 もちろん、私を大切にしてくれている。日だまりのような存在。

 温かくて、私を優しく照らしてる。

 でも、キスやそれ以上になると、別人のようになる。

 戸惑いがあった。

 私の反応より、自分中心?違う、私も経験がなかったからわからなかった。

 ただ、キスされたときの感じが違う。

 うまいとか下手とかあるって詩乃が言ってたけど、それだけじゃない。

 少し自分を押しつけるような強引なキス。

 私が不慣れなのもあるかもしれないけど。

 それ以上はもっとだった。



 「自分の気持ちを見つめ直せ。」

 タカヤ先輩はそう言っていた。

 言われなくても見つめ直さざるを得ない状況だよ。
 
 
 
 

 
< 42 / 151 >

この作品をシェア

pagetop