愛しているから 好きにしろ

 その日、夜久しぶりに晴人から電話が来た。

 「奈由。久しぶり。元気?」

 「うん。元気だよ。晴人は実習順調?」

 「ああ。とりあえず、順調。最近の中学生は生意気な奴が多くて手を焼いてるよ。」

 「そうなんだ。何年生担当なの?」

 「俺は二年生。」

 「部活とかも見てるの?」

 「いや、部活は見なくてもいいんだけど、サッカー部の顧問がまだいてさ。無理矢理参加させられてるから、ヘトヘトだよ。」

 「それは、大変だ。怪我しないようにね。」

 「全くだよ。それより、奈由。ほとんどメールもよこさなかったから心配してた。」

 「それを言うなら、晴人だってそうじゃん。忙しいんだろうと思ってたからしなかったんだよ。」

 「ふーん。そういうことか。ならいいんだけど。詩乃からメール来てさ。」

 「え?」

 詩乃、余計なこと言ってないよね。

 「なんか、バイトのシフト入りすぎで熱出したとか。」

 「ああ、それなら、先週ね。もう大丈夫。」

 「奈由。あの先輩と大丈夫か?」

 「……え?何が?」

 怖い。何か聞いてるのかな。

 「わかった。顔見て話したいからいいや。それから、ちょっと聞きたいことがある。」

 「何?」

 「お前、就職どうする気だ?」

 「何?突然。」

 「実家埼玉だよな。あっちから通えるところで就職するのか?都内の会社とか?」

 「うーん。まだそこまで決めてないけど、やりたいことが出来るところなら下宿でもいいかな。お給料低いと大変かも知れないけど。」

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