愛しているから 好きにしろ

選び取る将来

 
 今日、バイトに行くと事務所の裏に高級車が止まっていた。

 後部座席の後ろのガラスにカーテンとかついてる。白いレースの。

 しかも、運転手みたいな人が乗っている。

 こんなとこ止めていいのかななんて見てると、お辞儀されてしまい。

 私もお辞儀していたら、にっこりされてよくわかんない。

 駐車場に止めたらよくない?と思うけど、なんだか言えない雰囲気。


 それで、事務所裏の入り口からはいると話し声がする。

 店長がいる事務所のほう。

 よく聞くと、タカヤ先輩の声もしてる。

 何だろう。しわがれ声もする。

 一瞬事務所のドアの前で立ち止まっていたら、急に静かになって、ドアが開いた。


 「わっ!」

 開いたドアにぶつかって、しゃがみ込んでしまった。

 「あ?おい、大丈夫か?」

 タカヤ先輩の声。

 頭を上げると心配そうに私をのぞき込んでいる。

 なんだかデジャブ。そうだ、最初会った時が逆だった。

 私がドアを開けたら先輩がぶつかってきたんだよ。


 「はー、大丈夫です。」

 立ち上がって、事務所を見ると、先輩の後ろに椅子に座るおじいさん。

 杖持ってる。高そうな杖。しかも着物着てる?何か偉そうな人。



 
 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
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