愛しているから 好きにしろ
 
 「達也。言いたいことはわかった。だが、この嬢ちゃんが言うには、付き合っていないと言っておるようだが。お前、無理矢理……」

 「爺さん、さすがの俺でもそういうことはしない。大切にしたい女相手に無理矢理はない。」
 
 「そうじゃな。さすがわしの孫。で、この嬢ちゃんが富美に似ているのか?顔は若いとき富美のほうが美人だったぞ。」

 「爺さんの好みと俺の好みは違うんだよ。」
 
 「何を言う。性格が似ていると言うことは、わしと好みが同じということじゃ。」

 ちょっと待て。

 あんた達は私が黙っていることをいいことに、勝手に何を話してるの?


 私は勢いよく立ち上がると仁王立ちして言い放った。

 「す・み・ま・せ・ん・が。私には何のことやらわかりかねます。私は少なくともタカヤ先輩じゃない、三橋先輩の恋人ではありませんし、結婚も約束しておりませんので、これで失礼します。」
 
 ソファから出て行こうとしたら、先輩の手が私の腕をむんずとつかんで、引っ張った。

 私は立ち上がったはずのソファーへ尻餅をついた。

 「あっぱれじゃ。今の言いよう。まるで富美のよう。物怖じせず、仁王立ち。いや、なかなか……。」

 「だろ?いいところがたくさんあるんだ、こいつ。」
 
 再度立ち上がり、仁王立ち。二人の顔を見ながら言ってやる。

 「あのねー、人の話聞いてましたか?学校で人の話は聞きましょうって習いませんでしたかー?」
 
 「……ははは」

 「……がはは」

 何なのこのふたり。

 笑い方がそっくり。気持ち悪。

 
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