愛しているから 好きにしろ

 「奈由?」

 反応のない、私を心配して腕を緩めると私の顔をのぞき込んでいる。


 「……。」

 「ホントにごめん。悪かったと思ってる。許してくれ。でも、俺の気持ちは本当なんだ。お前の返事も待つ。」

 「なら、紹介する必要なかったですよね?」
 
 「……このままだと、爺さんの言いなりで見合いさせられる。篠宮もその気だし、色々面倒なんだ。」

 「だからって、私を使わなくてもいいですよね。」

 「使うとかじゃない。俺はお前以外考えていないから。前もそう言ったろ。奈由が好きだ。他の女は眼中にない。」


 ぎゅうっと私を抱きしめて顔を上に向ける。

 涙が浮かんでいる私の目を唇でキスしてなぞっていく。


 はあっと息を吐いた私を見て、にっこりすると

 「奈由。好きだ。早く堕ちてこい。」

 そう言って、唇のうえにキスを落とした。


 私が拒否もせず、ぼーっとしているのを見て、おでこに手をやる。

 「大丈夫か?ちょっと熱いけど。つらくないか?飯食ったか?まだだろうと思って持ってきたぞ。」


 そう言うと、後ろからビニール袋を出してくる。

 「台所かりるぞ。」そう言って、私を置き去りにして部屋を進んでいく。

 
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