愛しているから 好きにしろ
拒否する元気もなくて、部屋に入ると、腕まくりして手を洗ったタカヤ先輩がレンジに持ってきた料理をかけてくれている。
コップにお茶を入れると、テーブルに出す。
まるで自分の家のように……。
「奈由。俺は来春から爺さんの会社に入社する。お前、就職とか将来はどうするつもりなんだ?」
「……順番が逆。」
「は?」
「だから、順番が逆だって言ってるんです。好きだとか、結婚とか言う前に、私のそういう希望を聞くべきですよね。」
「まったくだ。悪いな。……だから遅ればせながらお聞きしている次第ですよ。」
「すみませんが、飲食関係に進む気はこれっぽっちもありません。」
「別にいいけど。」
「は?」
「何?お前にも俺と同じ会社に就職して欲しいとか言うと思ってたのか?」
「まあ、そんなこと言い出すんじゃないかと。だってそうでしょ。今までの強引な言動を胸に手を当てて考えたら。」
「悪いが、そんなこと考えてない。お前はお前の道を行け。どっちにしても、帰ってくれば同じ所ならそれでいい。」
「え?」
「で?何がしたいんだ?」