愛しているから 好きにしろ
 
 私は詩乃に言ったように説明した。

 「ふーん。出版社とか執筆とか。お前、考えていること面白そうだから向いてると思う。」

 「……どういう意味ですか、それ。」

 「いや、そのまんまの意味。」

 「失礼ですよね、相変わらず。」

 「何勘違いしてんだよ。褒めてんだよ。お前、話してること面白い。無駄がないし、はっきりしてるし、わかりやすい。それに、相手を気遣うところもある。攻撃的な言葉は選ばないから万人受けする。」


 ……驚いた。わたしのこと、よく見てるんだな、この人。

 「何、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してんだよ。」

 「ううん。あ、ありがとう。」

 「可愛いな、お前。」

 「え?」

 「とにかく、どこに就職するんでもいいけど、俺からあまり離れるな。できれば今みたいに同じマンションがいい。俺の会社の近くでお前の希望に合いそうなとこ探してやるよ。受けてみたらどうだ?飲食関係のライターや雑誌社なら知り合い山といる。」

 「……とりあえず、自力でやらせてください。って、どうして先輩に許可が必要なの?変だよ。」

 「来年一年、お前から離れる時間が多くなる。心配なんだ。俺も最初は忙しいだろうし。」

 「……あの。私達付き合ってませんけど。」

 「まだな。そのうち付き合う。」

 「どうしてそうなるの?!」

 
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