愛しているから 好きにしろ
 
 「そんなつもりじゃない。ただ、」
 
 「ただ、何?」

 「奈由、俺、教員採用試験をどこの県で受けるか迷ってる。群馬で受けて受かれば群馬の学校になる。東京で受ければ東京採用。」
 
 「そうか……。そういうことか……。」

 「奈由?」
 
 「ごめん。ちっとも分かってなくて。晴人の彼女なら考えていなくちゃだめなことだったね。」

 「いや、別にそんなことない。行く直前にそういうことになったし。気にするなよ。」
 
 「私ね。とにかく、自力で関東で就活してそれから考える。でも、群馬に行くことはよっぽどでないとあり得ないと思う。実家は埼玉だし。埼玉に戻るということならあるかもしれないけど。」

 「……わかってる。」

 「ね?何かあったよね。知り合いたくさんいたんでしょ、中学校。」

 「そうだな。同級生が同じ時期に実習に来るから。」

 「告白された?」

 晴人が私をビクッとおびえた表情で見つめた。

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