愛しているから 好きにしろ
「そんな顔しないで。晴人がモテるのは知ってるし、教員採用試験を受けるところを群馬にすれば同級生達と一緒に働けるし、将来も考えやすいよね。気になる子が出来たんだね?」
「やめろよ、奈由。なんで、お前らしくない。俺、何も言ってないだろ?」
「……晴人、私を見くびってる。私だって晴人のこと少しは知っているし、二年間見てきたから雰囲気が変われば気が付く。」
「なら、俺もハッキリ言う。お前の雰囲気も変わってる。あの先輩と何かあっただろ?」
私は、晴人を見た。悲しかった。
信じてくれないんだなと思った。
ということは、晴人はその人と何かあったんだね。
「……晴人。私、先輩とは付き合ってないよ。何もない。正直に言う。キスだけされた。でも晴人が帰ってきてから決めろって言われてる。待ってるから無理矢理付き合う気はないっていってくれた。」
「……奈由ごめん。俺、あの先輩の余裕ある態度を見てると、もう奈由はあいつに取られたのかとずっと思ってた。タイミング悪い時期に実習入って、いない間に手を出されてんじゃないかって焦ってた。信じてなかったんじゃない、あいつが怖かったんだ。」