愛しているから 好きにしろ
奈由は涙を一筋流しながら、下を向いた。
「俺は馬鹿だ。向こうで高校時代に付き合っていた同級生に告白された。上京して大学が別になって、教師をお互い目指しているのは知っていた。あいつが来るかも知れないと思ってはいたが、実際に来て驚いた。」
「一緒に群馬で先生やろうって言われたんでしょ?関係持っちゃったんだね?」
「奈由。俺はお前が好きだ。それだけは信じてくれ。片思いも長かった。やっと思いが通じたし、うれしかった。あいつがすぐに現れて、予想外だったけど。」
私は、泣きながら顔を上げた。
辛そうに私を見る晴人の目。
こんな目見たくなかった。
「別れよう、晴人。将来のためだよ。ごめん。私もう一緒にはいられない。」
鼻をすすって言い続けた。
「奈由、聞いてくれ、だから俺は……。」
「晴人。私ね、晴人を責められない。私は身体の関係とかはなかったけど、先輩のこと気になってた。正直に言うね。心が半分は先輩に向いてた。はかりの真ん中で揺れていたの。でも、晴人に会えば解決するって思ってた。解決したよ。だから、私のことは心配しないで。それと、友達に戻ってくれると嬉しい。晴人のこと、友人としては大好きだし。」