愛しているから 好きにしろ
「橋の近く。」
「分かった。でも暗いから気をつけて。どうしよう。私が行くまでに何かあったら大変だよ。」
「大丈夫らよ。ヒック。」
「チーフにも連絡するわ。その場所なら店に近いから私より先に行くと思うし。動かないで、声かけられたら逃げるんだよ。」
「……。」
十分もしないうちに、なゆーと言う大声がして、ガサガサと草をかき分けて降りてくる音がする。
詩乃の言うとおり、先輩の方が早かった。
恐ろしい顔でキョロキョロして私を探してる。
携帯のライトを照らしてこっちを凝視していた。
「なゆ、無事か?」
ふらふらと立ち上がったら、すごい勢いで抱きしめられた。
「……あー、心臓が止まるかと思った。原口さんが脅すから。無事でよかった。」
そうだ、と言って詩乃に電話してる。
無事だから任せろと言うと、詩乃がよろしくお願いしますという声が聞こえた。