愛しているから 好きにしろ
とにかく行こう、そう言うと、私の肩を抱いて土手のうえに上がっていく。
タクシーを呼んで、ふたりで乗る。
マンションにつくと、手を引かれて私の部屋の前へ。
鍵と言われ、手を出される。
先輩の手に鍵を置いたらすぐに開けてくれて玄関に身体を押された。
先輩は入ってこない。
「奈由。俺が入った方がいいか、帰った方がいいか決めてくれ。独りでいたいのか?」
私は、先輩に倒れ込んでしまった。
「……ひとりにしないで。お願い。」
先輩は黙って自分も玄関に入ると、鍵を中から閉めた。
ぐったりしている私を抱き上げると、ソファへ運んでくれた。
相変わらず、自分の家のように台所に入ると、冷蔵庫を開けて牛乳を出す。
マグカップに入れて、レンチン。気づくと目の前には湯気の出ているホットミルク。
そおっと一口飲むと優しい甘み。お砂糖が入ってる。
「酒でも飲みたいとこだろうけど、お前すぐ潰れそうだしな。愚痴や話したいことはいくらでも聞いてやるから、今日はホットミルクで我慢しろ。で、何があった?あいつと会ったって聞いたぞ。泣かされるようなことがあったのか。あいつ、殴るしかないな。」