愛しているから 好きにしろ

 先輩はとても優しい。もちろん夜も。

 だから、離れられない。

 離れられなくなってしまった。

 蜜月って言葉がこういうのにぴったりかもしれない。

 色々あって、ここに落ち着いた。

 あっという間に半年、気づけばもうすぐ三月。

 先輩の卒業ももうすぐ。

 遠距離のはじまりだ。

 「奈由。俺は、このマンションを出るのはやめた。」

 「え?実家に帰るんでしょ。そう言ってたじゃない。」

 「……お前を残して行くのが心配でならない。」

 「それは、まずいんじゃない。この間もおじいさまが屋敷に戻れとか言ってたじゃない。」

 「……。」

 「ほらね。どっちにしたって、働いたら時間ないんだし、会えなくなるよ。私だって就活始まるし、会えないときが増える。」

 「把握出来ないことが起きたら絶対後悔する。それが嫌なんだ。」

 「それって例えば?浮気とか?そんな事言うなら、先輩だって、心配だよ。」


 
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