愛しているから 好きにしろ

 晴人は、公園でブランコに座りながらこちらを見た。

 「なんだ?」

 「あ、あ、あの同級生さんは受かったの?」

 「奈由。俺はあいつとは付き合ってない。受かったらしいというのは知ってるけど。だからといって、任用地が違えば関係はない。」

 「ごめんね。先輩と一緒にいるところをいつも見せていて、嫌だったでしょ。私だったら耐えられなかったかも。」

 「奈由。あの人が相手だとわかってから、なんとなくすでに負けた気がしてた。お前のせいじゃない。俺が未熟だったんだ。」

 「……。」

 「この先、あの人に無理矢理何かさせられて、困ることがあったら連絡してこい。必ず助けるから。」

 「ありがとう。晴人も何かあれば相談してね。頼りにならないかもしれないけど、聞くくらいはできるよ。」

 「あの人に見つからないよう、相談しないとな。」

 「そんなことないよ。晴人は、私の友達だもん。」

 「奈由、元気でな。」

 「晴人も。身体気をつけてね。応援してる。」


 最後に、ふたりで握手して別れた。
 今でも大好き。

 でも前みたいにドキドキはしない。
 そういう関係に戻れた。

 そして、私達は大学を卒業した。

 
 
< 78 / 151 >

この作品をシェア

pagetop