愛しているから 好きにしろ
 
 三人で、近くのバルへ移動した。

 個室があるところで、入ると二人は早速お酒とおしゃれなおつまみを次々と頼み出す。

 私、今日料理しようと思って、家に材料買ってあったのにな。

 そんなことを思いながら、ぼうっとしていると、頭を撫でられた。

 「久しぶりだな、奈由。元気だったか?少し痩せたんじゃないか、忙しいのか?」

 そうだ、二週間ぶりだったんだよ。

 「うん、忙しいけど大丈夫。元気だよ。先輩は?忙しいのは相変わらずなんだね。先週、お婆さまに呼ばれて、先輩いないのに夕食食べに一回お屋敷行ったんだよ。」

 「ああ、そうらしいな。聞いたよ。全く、あの二人はお前をなんだと思ってるんだ。お前は俺のものなのに。俺に了承も得ずに呼ぶなんて。」

 「はいはい、お二人さん。そういう話はあとで二人になってからお願いしますよ。」

 ビールをかっこよく飲み干して、こちらを見やる榊さん。

 「達也、彼女の上司だめだわ。やめさせた方がいい。」

 え?なんて?

 「ちょ、ちょっと待ってください。やめるかどうかは私が決めますから。」

 二人が私を睨んでる。こ、怖いよー。

 「どういうことだ、榊。」

 「彼女の記事を直属上司の飯田がヤツの名前で雑誌に掲載してる。しかも、初めてじゃない。編集長も分かっているはずだ。」

 「……ひどいな。奈由は何故抗議しない。」

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